「外出する機会が減って太ってしまった」、「以前よりも太りやすく、痩せにくくなった気がする」という悩みからダイエットを始める人が増えているようです。そこで、ダイエット外来の医師で肥満治療評論家の工藤孝文先生に食行動に関する改善のアドバイスを伺いました。さらに、レモンがダイエットをサポートするという最新の研究結果も入手。併せて毎日の食生活に取り入れやすいレモンレシピもご紹介しますので、ぜひトライしてみてください♪
食後に血糖値が上昇すると太りやすい、って本当?
工藤先生、まずはダイエットを行うために必要なことはなんですか?
「食べないで痩せるのではなく、“食行動を正すこと”が肥満の解消につながります。まずは、朝食をしっかり摂りましょう。朝食をとらないと、代謝が上がらず脂肪が燃えにくいまま、昼食や夕食で、脂肪を余計に溜め込んでしまいます。また、仕事などで夕食が遅い人は、分食をすすめています。18時までに糖質量やカロリーが高い主食を摂り、帰宅後におかずだけを食べます。徹底的にダイエットを行うならそれぞれの環境に合った方法が必要ですが、ここではまず食行動の基本を押さえておきましょう。ダイエットには食べ方のほかに、“何を食べるのか”も重要になってきます」
「何を食べるか」ということですが、どんな影響をもたらすのですか?
「ごはんやパン、また甘いものなどの糖質を摂ると、まずは分解されブドウ糖になります。ブドウ糖は腸から吸収され血液の中に入ります。これを血糖といい、血液の中の血糖の量を血糖値といいます。食後、血糖値が上昇すると、すい臓からインスリンというホルモンが分泌され、インスリンによってブドウ糖が細胞内に運ばれ、エネルギー源として、筋肉を動かしたり、脳を働かせたりするのに利用されます。しかし、余ったブドウ糖はせっせと中性脂肪として合成され貯蔵されていきます」
余ったブドウ糖が脂肪になってしまうのですか! でも、ブドウ糖のもとになる糖質を摂らないのは難しそうです。糖質を摂っても大丈夫な食事法はないのでしょうか?
「食後の血糖値の上昇をゆるやかにすることで、ブドウ糖が中性脂肪に変わるのを抑えることができます。血糖値の上昇をゆるやかにするには、いつもの食事に+αが必要です」
なるほど、血糖値の上昇をゆるやかにすることが大切なのですね。でも、+αとはなんでしょうか……?
食後の血糖値の上昇をゆるやかにするのは、なんと「レモン」!
血糖値の上昇を抑制する食事について調べていたところ、なんと最新の研究※で「レモン」にその働きがあることがわかりました。
健常な20~30歳男女12名を対象に「米飯だけを摂取したとき」、「レモン果汁を米飯よりも先に摂取したとき」の血糖値推移を検証する実験が行われました。その結果、「米飯を摂取する前に、レモン果汁を30g摂る」ことで食後の血糖値の上昇を抑えられることがわかったそうです!
参考:同志社大学生命医科学部 糖化ストレス研究センター(所在地:京都府京田辺市)八木雅之教授らの研究より。Masayuki yagi,et al:Effect of the postprandial blood glucose on lemon juice and rice intake
出典:Glycative Stress Research誌, 第7巻2号, 174~180頁(2020年6月30日発行)
さらにレモンには、痩せ体質になるホルモンを活性化させる働きもあるのだとか!
「脂肪細胞から分泌される『アディポネクチン』というホルモンは“痩せホルモン”といわれ、このホルモンの分泌量が多いと、運動効果と同様の脂肪燃焼効果が得られ、太りにくい体になることがわかっています」と、工藤先生。
レモンの産地で暮らす中高年女性を対象にした研究※によると、レモン摂取量が多いほど血中のアディポネクチンの量が多いことがわかっているそうです。
堂本時夫「レモンの健康効果に関する研究の動向」より引用
出典:人間と科学 : 県立広島大学保健福祉学部誌 13(1), 1-9, 2013-03
これは普段の食事にレモンを取り入れない手はないですね! そこで、食事の前や、白米を食べる前のおかずにぴったりなレシピをご紹介します。
正しい食行動をサポートしてくれるレモンドリンク&料理♪
「レモネード」
まずは、気軽に取り入れやすいレモンドリンクからご紹介します! レモン果汁とはちみつを水で割った「レモネード」です。ダイエットとはいえ、完全な“甘いもの断ち”は逆効果。もちろん、食事内容に合わせてはちみつを入れずにレモン水としてもいいですよ♪
【材料】(1人分)
レモン果汁…大さじ2
はちみつ…大さじ1
水…150ml
※レシピにははちみつが含まれます。1歳未満の乳児には与えないでください。
【作り方】
【1】グラスにレモン果汁、はちみつを入れてよく混ぜ合わせる。
【2】水を加えて混ぜ、好みで氷を浮かべる。
【POINT】
・はちみつの分量はお好みで調整してください。
・水の代わりに炭酸水を使うと、レモンスカッシュになります。
「ドライレモンサワー」
正しい食行動を意識している時でも、たまにはお酒が飲みたくなりますよね。そんな時は、「レモンサワー」はいかがでしょうか? 清涼感のあるレモンサワーは後味がさっぱりとして食事にもよく合います。とはいえ、飲み過ぎには注意してくださいね!
【材料】(1杯分)
焼酎…60ml
炭酸水…90ml
レモン果汁…15ml
氷…適宜
※お酒のレシピです。飲酒は20歳になってから。
【作り方】
【1】氷を入れたグラスに、焼酎と炭酸水を4:6で割る。
【2】その1割程度のレモン果汁を加える。
「レンジで簡単♪レモン香るサラダチキン」
ダイエットフードとしても定番の「サラダチキン」は、普段の食事にぴったり。しかも、電子レンジで簡単に作ることができます。レモンには爽やかな味わいにしてくれるだけでなく、お肉をやわらかくしてくれる、うれしい効果も! おいしいサラダチキンがあれば、食行動を正しながら、無理なくダイエットが続けられること間違いなしです。
【材料】(作りやすい分量)
鶏むね肉…2枚(600g)
【A】レモン果汁…小さじ4
【A】ハーブソルト…小さじ4
【A】砂糖…大さじ1
【A】酒…小さじ2
【A】オリーブ油…小さじ2
【作り方】
【1】鶏むね肉は皮を取り除き、めん棒などで厚みが均一になるようにたたいて広げてからフォークで両面を刺す。
【2】ボウルに【A】を入れてよく混ぜておく。
【3】バットの上にラップを敷き【1】を置いて【2】を両面にすり込みラップで包む。そのまま冷蔵庫で一晩置く。
【4】【3】を30分ほど室温に置いて肉を室温に戻す。
【5】【4】の1枚を耐熱容器の上に置き、電子レンジ(500w)で2分加熱する。一旦取り出して肉を返してさらに1分半~2分加熱し、そのまま冷ます。残り1枚も同じように加熱する。
【POINT】
・鶏むね肉をレモン果汁が入った調味液に漬けこんでおくことで、お肉がしっとりします。
・清潔な密閉容器に入れて冷蔵庫で4~5日保存できます。
おわりに
食後の血糖値の上昇をゆるやかにすることが、ダイエット成功の後押しをしてくれることが、よくわかりましたね! そして、血糖値の上昇を抑制してくれる働きが、私たちの身近な食材「レモン」にあったとは驚きです。まずは食行動の改善としてドリンクで、慣れてきたら食事にも、少しずつレモンを食生活に取り入れてみましょう♪