前編に続き、ポッカサッポロ工場見学の後編は、レモンの魅力を教わる「レモン大学」です。レモンの基礎知識からおいしさの秘密、レモンの機能まで、様々な実験も交えながらレモンのチカラについて教えていただきました。
工場見学の後は、レモンの魅力がギュッとつまった「レモン大学」開講!
ポッカレモンの生産ラインを見学し、その技術の素晴らしさに興奮冷めやらぬwithレモン編集部の面々。工場から戻ってくると、レモンについて学べる「レモン大学」の教材が整えられていました。さらにレモンへの知識を深めます!
開講早々、クイズの洗礼! レモンはどこの国で生まれた?
レモン大学は、レモンの伝播と物語を学ぶ「教養学部」、世界のレモン食文化を知る「文学部」、レモンの健康機能を学ぶ「健康学部」、レモンの調理機能を学ぶ「栄養学部」の四部構成となっています。
開講してすぐに「レモンはどこの国で生まれた?」とのクイズが。みなさん、もちろんご存知ですよね?
正解は…諸説ありますが、「中国」です! 日本に伝わったのは1873年、熱海に湯治に来た外国人が育てたのがはじまりといわれています。
ちなみに画面のキャラクターは“使えばクセになるレモン果汁を世の中に広めるために、日常生活に忍び込んだ忍者”の「レモンじゃ」です。
さて、続いての問題は柑橘類の原種で、レモンの原型といわれている「丸仏手柑(マルブシュカン)」についてのクイズ。丸仏手柑の漢名は何というでしょうか? 正解は…
「枸櫞」です! 名前の通り、「クエン酸」の由来となっており、さらに中国では「クエン酸」のことを「檸檬酸」というそうです。「レモン」とその酸っぱさのもとである「クエン酸」はやはり切っても切れない関係なんですね。
ほかにもクイズが出題されたので、ご紹介しましょう。
Q.日本のレモン生産量No.1の都道府県は?
1和歌山 2広島 3愛媛
答え・広島県
広島県は全国の生産量62%をしめ、ダントツのトップ。 愛媛20%、和歌山5%、その他13%となっています(出典:農林水産省 特産果樹生産動態等調査2014年)。
Q.クエン酸を多く含む、くだものは?
1りんご 2みかん 3レモン
答え・レモン
レモンのクエン酸含有量は果物の中でトップクラス!その量はみかんの約6倍、りんごの300倍にもなります。(出典:1997年 最新 果汁・果実飲料事典(社)日本果汁協会)
レモンにはクエン酸のほかにも「ビタミンC」「ポリフェノール」、爽やかな香りの成分「リモネン」など体に嬉しい成分が含まれています。
諸外国では、レモンをかけるスペインのパエリア、ギリシャの塩レモンやレモナート(レモンソースでお肉を煮込む料理)、イタリアのレモンサラダやリモンチェッロ(レモンの皮を漬け込んだお酒)など、日頃からレモンを活用しています。レモンの消費量は日本を「1」とした場合、ギリシャは17.7倍、イタリアは16.5倍、スペインは12.5倍にもなり、その差は大きく開いています。
(出典:FAO(国際食糧農業機関) 世界人口白書(国連人口基金)2006年)
私たちもレモンをもっと生活に取り入れたいですね!
今回、レモン大学の講師を務めてくださったのはポッカサッポロ フード&ビバレッジ研究開発本部の高岡なつみさん。ポッカサッポロが発売している調味料「塩レモン」をはじめ、お茶や果汁飲料の研究開発に携わっています。
目からウロコ!レモンを使った実験に挑戦
一通り講義を受けた後は、レモンを使った実験にうつります。
さて、ここで再びクイズ。
Q.レモンのクエン酸は○○を溶けやすい形にするチカラがあります。○○とは何?
1カルシウム 2タンパク質 3脂肪
正解は…1カルシウムです!
厚生労働省の「国民健康・栄養調査」によると、日本人のカルシウム摂取量は、男女とも多くの年代で必要量に達していません。また、カルシウムは体内への吸収率が悪く、牛乳を飲んだとしても約40%しか吸収されないそうです。ところが、レモンに含まれるクエン酸を加えるとカルシウムが溶けやすい形に変化するはたらきがあるらしい。これを「キレート作用」というとのことです。
それでは早速、実験してみましょう。用意してもらったのは、ペットボトルの水、クエン酸、カルシウムです。
ペットボトルには1本はカルシウムだけ、もう1本にはクエン酸とカルシウム両方の粉末が入っています。
そこに水を注いで振ってみると…
写真では少し分かりづらいのですが、カルシウムのみのペットボトルにはカルシウムの粉末がいつまでも残り、カルシウム+クエン酸の方はきれいに溶けてなくなりました。「キレート作用」は絶大です!
続いては、「クエン酸が食材の色を鮮やかにする」原理を学ぶ実験。
みなさんはイチゴジャムやブルーベリージャムを作る時にレモンを入れたことはないでしょうか?イチゴやブルーベリーには「アントシアニン」という成分が含まれており、pHが低いほど、その色は鮮やかになります。レモンに含まれるクエン酸はpHを下げる働きがあるのです。
まずはpH濃度が高い水色の溶液をコップに注ぎます。そこにレモン果汁を少しずつ加えていくと…
うっすらとピンク色に変化しはじめました!
どんどん色が変わっていきます!
最後はきれいなピンク色になりました!
このようにイチゴジャムやブルーベリージャム、イチゴ酒などの果実酒にレモンを入れると、色鮮やかなまま調理することができるとのこと。
イチゴジャムを作る場合は、イチゴ500g、グラニュー糖300g、レモン果汁は大さじ1程度を目安にすると良いそうです。
みなさんも試してみてくださいね。
次はおいしい実験。簡単ラッシーをみんなで作ります!
最後は、クエン酸がカルシウムを溶けやすい形にする「キレート作用」を応用した実験です。
カルシウムを多く含む「牛乳」に、クエン酸を多く含む「レモン」を混ぜあわせると、なんと簡単にラッシーが作れるんです!
まずはシェーカーを用意します。ない場合は蓋付きの容器か、コップに注いでマドラーでよくかき混ぜてもよいでしょう。
次に蜂蜜を入れます。シェーカーには目盛りがありますが、家で作る場合は大さじ2杯程度です(※はちみつを使用する場合は、1歳未満の乳児には与えないでください)。
それから大さじ3杯程度のレモン果汁を加えます。かなりたっぷり、こんなに入れたら酸っぱくなるかも!?というぐらいの量です。
最後に400mlの牛乳を注ぎます。
あとはひたすらシェイク!全体がよく混ざるまで、振り続けましょう。
はちみつが溶け、全体がむらなく混ざったら完成です。
試飲してみると、かなりのレモン果汁を入れたのに酸っぱくありません。爽やかな酸味とはちみつの甘みが口に広がり、ごくごく飲めちゃいます。しかも牛乳に含まれるカルシウムが「キレート作用」でとりやすくなると思うと、嬉しいですね。
★詳しい話は、こちらでもどうぞ!
https://www.with-lemon.jp/health/004/index.html
講師の方にインタビュー!
講師の高岡なつみさんは入社4年目。大学院でもレモンの葉の成分を研究していたというレモン一筋の方です。高岡さん、レモンの魅力って何ですか?
「レモンは食べて良し、飲んで良し。皮も実も、果汁も楽しめる万能の果実です。味も香りも素晴らしいので、私自身もサラダ入れたり、お肉につけたりして、毎日食べています。レモン好きが高じてレモン形のポーチや、レモン色のグッズを集めるようになりました。鮮やかなレモンイエローを見ていると元気が出ます!」(高岡さん)
おわりに
約1時間の「レモン大学」では、レモンの歴史から健康効果まで、余すところなく教えていただきました。しょうゆの代わりにお醤油とレモン1:1の割合で混ぜた「レモンしょうゆ」を使うと減塩効果があるなど、役に立つお話をたくさんうかがえて大満足です。
残念ながら工場見学は一般公開はされていないものの、東京都千代田区の科学技術館ではレモンを使った実験ができる「レモンのチカラ」を開催中です。小学生以上の子どもであれば誰でも参加でき、「レモンのエッセンス」「クエン酸とカルシウム」「ラッシーを作ってみよう!」の3つの実験を楽しめるので、ぜひ開催日程をチェックしてみてくださいね!