広島レモン栽培の発祥の地といわれているのが呉市豊町大長(旧・豊田郡大長村)です。近年では年間を通していつでも手に入れられる国産レモンですが、一年中、国産レモンが手に入れられるようになったのには、JA広島ゆたかのチャレンジがありました
だんだん畑で太陽を浴びて育った「大長レモン」
大崎下島にある旧・大長村の名前から「大長レモン」と名付けられました。大長レモンの里、大崎下島は、平らな土地が少ない起伏にとんだ島。もともとみかんの生産地として全国的に名が知られ、別名「黄金の島」とも言われています。柑橘類がよく育つ環境下で、レモンの生産量を年々増やしています。
だんだん畑で太陽の光をたっぷりあびて、温暖な気候でのびのびと育った大長レモンは、外国産のレモンと違い、皮の色が濃いのが多い印象です。
大長レモンは減農薬栽培や除草剤、ポストハーベストの不使用などに取り組んでいます。農家の高齢化が進んでいるなか、島のレモン生産者とJA広島ゆたかでは国産レモンの生産拡大、品質向上に取り組んでいます。
敷地内で行われている作業風景。重さによって分けられたレモンを仕分けていきます。
1つひとつ手作業で分類。レモンに傷がつかないように丁寧に行います。
レモンの胴まわりから、2L、L、M、Sと4つのサイズに分けられます。大長レモンは、外国産レモンに比べ皮が薄いのでずっしりと重く、果汁もたっぷり含まれたレモンで、実が詰まった証拠です。
国産レモンを消費者へ 年間を通して届けるために
「これまでレモンは、7~8月にハウス栽培、10月~5月までは露地栽培で収穫、出荷していました。6~8月の間は出荷ができなかったのですが、このスキマをなんとか埋めようと、試行錯誤してきました。一般的な冷蔵方式ではロスも多く、かといって安全面から輸入品のように防ふ剤を使うわけにはいきません。探しつづけて、やっと密封包装して冷蔵で貯蔵することができる「P-プラス」という素材に出合ったんです。これで1年間を通して、広島産レモンを全国の皆さんにお届けできるようになりました」
とは、今回ご協力をお願いしたJA広島ゆたかの職員、山根 和貴さん。
各農園から集められたレモンは、サイズ毎に分けて青果市場や、加工業者へ運ばれると思いきや、1個ずつにパッケージされて夏を待つのだそうです。収穫したすぐ後のレモンを個包装にして、低温で貯蔵しはじめたのがこのJA広島ゆたかなんですって。 1~3月の期間に収穫した高品質のレモンが、年間を通して楽しめるのは、こうした努力があったから。レモンは1個ずつラップなどにくるんで、低温の場所で保存することが鮮度を長く保つ秘訣なんだそうです。
大長レモンは甘い? レモンの糖度を測ってみました!
大長レモンはしっかり酸味があるものの「ちょっと甘いですね」といわれることも多いのだとか。そこで、本当に甘いのか? withレモン編集部は、実際に大長レモンの糖度を計ってみることにしました。JA広島ゆたかの方に選んでもらった、レモン2個でチャレンジです。ちなみに、一般的に売られているイチゴの糖度は10~12%くらいと言われています。
レモンを半分に切ってみると……。下段がAのレモン、上段がBのレモンを切ったもの。Bのレモンの方が、果肉の色が濃いことがわかります。それでは計測!
まずはAのレモンを測定。結果は……「8.5」。フルーツトマトが糖度8前後。
Bのレモンを測定するとなんと「9.4」! この実験では、皮の色が黄色ではなく少しオレンジ色がかったレモンの方が、甘いということがわかりました。
驚いたことに、もっと暖かくなって熟しきった大長レモンなら糖度は「10」を超えるのだとか! しかも酸味が和らぐので、レモンを丸ごと1個使う料理などにはこれから出荷されるレモンが最適なのだそうです。
おわりに
温暖な瀬戸内の気候と、島に広がるだんだん畑の風景はなんとものどか。島の恵まれた環境のなか、愛情をもって育てられた大長レモンだからこそ、フレッシュで豊かな味わい。島の人が大切に育てたレモンの味を、ぜひ楽しんでみてください。