レモンにも種類があるって知っていましたか?普段、何気なく食べているレモンには名前がついているんです。そこで今回は「日本一のレモン生産量」を誇る広島県の、JA広島果実連の及川正明(およかわ・ただあき)さんに、日本で栽培されているレモンの種類について解説していただきました。さらに、レモンとライムとの違いのような、誰かに話したくなる豆知識も紹介します!
日本で栽培されているレモンの種類って?
青果店やスーパーではただ「○○産レモン」としか表記されていないことが多いのですが、国産レモンに種類ってあるんですか?
「普段はあまり区別していないのですが、実はいくつもの種類があるんですよ。本日は日本で栽培されている代表的な品種を三つご紹介しましょう」。
●リスボン
「ポルトガル原産で、広島県・瀬戸田を中心に栽培されています。レモンのなかでは最も寒さに強く豊産性も高い、日本の気候に適した品種。果実は長いボールのような形をしています」。
●ビラフランカ
「シチリア原産といわれ、日本には1921年に導入されました。現在では主にJA広島ゆたかの主力品種として栽培されている品種です。果実は長いボールのような形や、卵を逆さにしたようなものがあります」。
●ユーレカ
「カリフォルニア原産で果肉がやわらかくジューシーな品種として高く評価されています。日本ではビニールハウスで栽培されることが多いです。果実は長いボールのような形や、卵を逆さにしたようなものがあります」。
主要な三品種だけを比較しても原産地が異なっていて、興味深いですね!
「そのほかには『マイヤーレモン』という、レモンとオレンジ種の交雑種もスーパーや青果店で見かけるようになりましたよね。果皮が薄くて、酸味が少ないのが特徴です。近年では『璃の香(りのか)』という、『リスボン』と『ヒュウガナツ』を掛け合わせた多汁で酸味がまろやかなレモンも誕生しました。また、広島県で育成された『イエローベル』は、『ビラフランカ』を親に持つ新品種です。三倍体なので種が少なく、果汁が多いのが特徴です。その名の通りベルのような形をしています。一口にレモンといっても日々進化しているんです」。
海外には「ベルナ」「フェミネロ」「ジェノバ」「メセロ」などひとつひとつ挙げていくとキリがないほどたくさんの種類があるのだそう。海外の名産地に比べて寒冷な日本では、栽培に適したレモンの品種が限られているのだとか。そんななか、及川さんをはじめレモン栽培に情熱を注ぐ方々のおかげで、国産レモンが簡単に入手できるようになったのです。
レモンとライムってどこが違うの?
突然ですが、クイズです!上の写真の柑橘類の名前をすべて答えられますか?答えは左から、スダチ、カボス、ユズ、ライム……そして我らがレモン。なかでもレモンとライムは形が似ていますね。どんな違いがあるのでしょうか?
「どちらも酸味の強い柑橘の香酸柑橘(こうさんかんきつ)です。味や香りは明らかに違いますが、栽培に適した気候がそもそも違うんですよ。レモンは温帯、ライムは亜熱帯および熱帯が適した気候です。なので、温帯の日本ではレモンに比べてライムはあまり生産されていません。レモンよりも果実がひと回り小さいことも特徴です」。
「また、レモンはライムや和柑橘(ユズ、スダチ、カボスなど)に比べ、出回る時期も長く、料理の汎用性も高いんです。元々海外から日本に入ってきたレモンがこれほどまでに日本の食文化に馴染んでいるのは、他の柑橘類よりも食材のおいしさをより一層引き立たせてくれるからでしょうね」。
おわりに
さまざまな料理の名脇役として活躍するレモン。国産だけでもいろいろな種類があったんですね!買い物でレモンを手にしたときに「これはリスボンかな?それともビラフランカ?」と考えるのも楽しそう。意外と知らないレモンの種類や特徴を家族やお友達にも教えてあげて、今日からあなたもレモン博士になりましょう!