さわやかな風味で、料理や飲み物をおいしくしてくれるレモン。古くから世界に広まったレモンはそれぞれの土地の食文化になじみ、人々の毎日の暮らしに欠かせないものとなっています。とくに地中海沿岸の国々では、多く消費され、地元の食文化に根づいています。
おやつにレモンの葉っぱまで食べる!~スペイン・ムルシア~
1年中収穫できるレモン
スペインはヨーロッパ1の生レモンの生産量を誇る国です。中でも最大の産地は、南部のムルシア地方。生産量は年間50万トンにもなり、スペインのレモンの50%以上がムルシアで生産されています。
日照時間が長く日射しが強い大地で、1年中レモンが収穫できます(4月~9月は「フィノ」と呼ばれる品種、10月~3月は「ヴェルナ」と呼ばれる品種を収穫します)。
葉っぱや白い部分まで食べる!?
ムルシア地方では、レモンの葉を揚げた「パパラホテス」というデザートがあります。葉っぱに砂糖をまぶしてフライにし、食べる時は葉を手や歯で取り除き、フライの部分だけをいただくというもの。家庭やレストランで出される定番メニューだそうです。
もっと簡単なおやつは、そのままいただくこと!
皮をむいて薄切りにしたレモンを、そのままガブリと食べます。切ったレモンにオリーブオイル、塩、パプリカをかけてもgood。大きく育ったレモンは白い部分が多いので、あまり酸味を感じないそうです。
モロッコ料理の重要な役割、下ごしらえにレモン!~モロッコ~
下ごしらえの必須食材、レモン
南イタリアやスペインと異なり、モロッコのレモンは「下ごしらえ」に大活躍。モロッコはアフリカ1ともいわれるほどの野菜や果実の宝庫ですが、旧市街(メディナ)のベジタブルマーケットでは、レモンは果実の売場にはありません。ハーブや唐辛子など、野菜の中でもスパイスに近い位置づけのものと一緒に売られています。
基本的にモロッコでは出来あがった料理にはレモンをかけません。生のレモンも使いますが、特徴的なのが「レモンの塩漬け」。これが、タジンという煮込み料理やクスクスなどによく使われ、多種のスパイスの複雑な香りを引き立たせ、ほどよい酸味で味を引き締めます。レモンはモロッコ料理の中でも重要な役割を担っているんです。
南イタリアやスペインにおけるレモンは、出来あがった料理にかける「仕上げの文化」。
モロッコでは、料理の下ごしらえに使う「仕込みの文化」があるんですね。
おわりに
いかがでしたか?
世界のさまざまな地域で食べられているレモン、スペイン・モロッコ編では国ごとに特徴のあるレモンの文化について紹介しました!皮ごと生で食べたり、塩漬けにして料理の下ごしらえに使ったり、それぞれの国の独自性が垣間見えて、いかにレモンが愛されているのがわかりますね。世界にはまだまだ私達の知らないレモン料理が溢れています!
次回の雑学レモンは、レモンが地域にどう根づいているか、ご紹介していきます!