レモンを使ったフードメニューやレシピは星の数ほどあるけれど、レモンの魅力って食べるだけではないはず。そこで、食べものとしてではないレモンに魅せられたプロフェッショナルに「レモン愛」を存分に語っていただく連載がスタート! 第1回目はレモンアートの魅力をたっぷりと語っていただきました。
第1回:レモンを描き続けるアートディレクター・松田英幸さん
デザイン制作会社「HAPPINESS & LUCK」のアートディレクター・松田英幸さんは、2016年にイラスト工房「アトリエール・リモーネ」を立ち上げ、全国のイタリアンレストランに向けて情報を発信しています。その新たな活動の中でレモンをモチーフにイラストを描き続ける日々。松田さんがレモンアートに魅了される理由は何なのでしょうか?
陽気な気分にさせてくれるレモンを描きたい
「レモンの明るい黄色には、一瞬で人を『陽気』にしてくれるパワーがあると思うんです。特に南イタリア産の大きくてぷりぷりとしたレモンに、僕は惹かれました。印象的で、見ているだけで気分が明るくなってくる。それで、日本でもイタリアのレモングッズやイラストを探したんですが、全然好みのものがなくて。それなら、自分で作ろうと思い立って、好みのレモンを描き始めました」
「昔は、漫画家を目指していたこともあったのでイラストは得意でした。特にイタリアンテイストのタッチの方向性は、得意だと『ビビビッ♪』と感じたんです。描いた数は、もう1000個近くになりますが、ゆるくてかわいい感じ、いい意味で緊張感のない陽気な感じに仕上げるのは、意外に難しいんです。うまく描けなくて悩んでいた時期も実はありました。リアルに描けばいいわけでもなく、ゆるく描きすぎても魅力的にならない。そして、辿り着いたのがこのタッチ。イタリア人にも『イタリア人が描いたものだと思った』と言ってもらえた時は本当に嬉しかったですね」
では、そのゆるくてかわいいレモンは、どのように描かれているのでしょうか。その様子を実際に見させていただきました。
額入りのイラストは、一点ずつ水彩絵の具で鮮やかに描かれています。
「やはり、プリントは鮮やかなレモン色と葉っぱのグリーン色が鮮やかに出ず、味がないんです。レモンのあふれる躍動感や明るさは、水彩絵の具での手描きが一番陽気に表現できます。あと、手描きだと一点一点わずかに表情が変わり、一点モノになるところがたまりませんね」
お気に入りのレモングッズも拝見。
「手前は、鎌倉にあるマヨリカ焼きの工房に皿作りの勉強に行った時、初めて自分で描いた作品です。奥のレモン柄の皿は南イタリアの地中海に面した町、アマルフィで作られたもの。レモンの形をした皿は、陶器専門店グラナダの社長様からプレゼントしていただいたものです。見ているだけで陽気でご機嫌な気分になります」
レモンのイラストがコミュニケーションツールとして大活躍
「アトリエール・リモーネの作品の中で人気なのが、料理がおいしく見える魔法のランチョンペーパーです。「お客様から『このランチョンかわいいですねー』と声をかけられるそうで、レストランのスタッフとお客様との会話のきっかけになっているのは、予想外でうれしかったです。あと、新潟県のイタリア料理店「ラ・ジェンマ」の外壁と店内の壁に30時間かけて70個以上のレモンを描いたことがありますが、お客様から雰囲気がとても明るくなった、入りやすくなったと大好評だったようです」
と、笑顔で話す松田さん。そして、レモンを描き続けるうえで達成したいことがあると言います。
目指すは、47都道府県制覇! もっともっと多くの人に届けたい
“アトリエール・リモーネのコンセプトに共感してくれる、全国47都道府県のイタリア料理店にレモンのイラストを飾りたい!”というのが松田さんの夢。
「いま描いたことがあるのは4都県・8店のレストランだけですから、成長の余地はたっぷりあります(笑)。それと、レモンのイラストには人を陽気な気分にさせてくれる力があると思うので、個人の方でもお祝いや贈り物として、このレモンの水彩画がもっともっと浸透してくれたらいいなと思います」
見ているだけで元気をもらえる、松田さんのレモンイラスト。これからもたくさんの人を明るい気分にさせてくれることでしょう。