11月といえば、ボジョレー・ヌーヴォー解禁! 毎年、どんな新酒が味わえるのか世界中で盛り上がります。そんなワインの季節に合わせて、今回は自宅で簡単に作れるレモンを使ったワインに合うおつまみをご紹介します。レシピを教えてくれたのは、スペイン料理研究家の丸山久美さん。スペインでも、この時期はワインの新酒が出回る時期なのだそう。しかも、スペインはレモンを日常的に使う国としても知られています。スペインならではのレモンおつまみ、期待してしまいますね!

スペイン料理の仕上げは、ギュギュッとレモン!

スペイン・マドリードで14年間暮らしていたという、丸山さん。スペインでは、レモンはどのように食べられているのですか?
「スペイン人はとにかくレモンが大好き。パエリア、揚げ物、煮込み料理など、仕上げにレモンをギュッと絞って完成する料理が多いですね。地中海に面したムルシア地方では、お祭りの屋台でレモンを売られることがあるぐらいです。表皮をむいた果実を半分に切り、塩をつけて食べるんです。スイカに塩を振って食べると甘く感じるように、塩がレモンの甘さを引き出してくれるのでしょう。日本のレモンよりは酸味はマイルドなので、そのように食べられているのです」

レモンをそのままかけたり、食べたりする以外でも使われていたりしますか?
「ありますよ! 『アリオリ』というカタルーニャ地方やバレンシアなどの地中海地方やマジョルカ島などの島々の伝統料理(ソース)があります。材料はにんにく、オリーブオイル、塩こしょう、そしてレモン果汁です。現在では、卵(卵黄)を入れることもあります。これらを混ぜてできたソースは、あらゆる料理に添えられているのです。ちなみに『アリオリ』からマヨネーズが生まれたといわれており、スペインはマヨネーズのふるさとでもあるのです」

そうだったのですね! スペインではレモンがない暮らしは考えられなさそうです。丸山さん、スペイン暮らしで学んだレモンの使い方を生かした、ワインのおつまみのレシピをぜひ教えてください!

「スペイン人はワインが大好きなので、毎日の料理とともに楽しんでいます。どちらかというとスペインは赤ワイン文化。今回使った食材のレモンやシーフードなどは、ボジョレー・ヌーヴォのような軽やかな赤ワインがマッチするかと思います」

ねぎの生ハム巻き レモンソースがけ

スペインといえば、「生ハム」。それと、これからの時期、旬を迎える長ねぎを使った一口サイズのおつまみです。

「長ねぎは電子レンジで加熱するだけ。あとは、生ハムを巻いて、レモンソースをかけて完成です。手軽に作れていいのですが、もしできるなら長ねぎはフライパンで周りの白いところに焦げ目をつけ、中心がくたっとするぐらい焼くと、香ばしさが加わって、さらにおいしくできますよ! 長ねぎの代わりに、じゃがいも、玉ねぎ、ピーマンを使ってもいいでしょう。加熱しないで作るなら、赤パプリカ、柿、洋ナシ、缶詰の黄桃も生ハムと相性が良く、ワインに合うので、ぜひ試してみてくださいね。レモン好きの方は最後に“ギュギュッ”とレモンを絞るだけでもおいしいです。ぜひスペイン風に楽しんでください」

【材料】(2人分)
長ねぎ…1本
生ハム…3〜4枚

【A】万能ねぎ…1本
【A】オリーブオイル…小さじ2
【A】レモン果汁…小さじ1〜1と1/2
【A】粒マスタード…小さじ1/2

【作り方】
【1】ねぎは5cm長さに切る。
【2】耐熱容器にねぎを並べ、ラップをかけ、600Wの電子レンジで40秒加熱する。
【3】ねぎに生ハムを巻く。(生ハムが大きい場合は半分に切る)
【4】【A】の万能ねぎは小口切りにして、他の材料と混ぜ合わせる。
【5】【3】に【4】をかける。

スペイン風レモンポテトサラダ

続いては、レモンとじゃがいものサラダです。スペイン風というのは、どういうことなのでしょうか?

「スペインには『ビナグレットソース』というものがあります。オリーブオイルとワインビネガーを混ぜて作るソースなのですが、今回は応用してビネガーをレモン果汁にアレンジしてみました。レモンは酸っぱいだけでなく、爽やかなので、他の料理の箸休めにもぴったりです。じゃがいもはレンジでチンでもいいですが、じっくり茹でた方がホクホク感に差が出ますよ」

【材料】(2〜3人分)
じゃがいも…中2個

【A】レモン果汁…大さじ1
【A】にんにくのすりおろし…少々
【A】オリーブオイル…大さじ1
【A】イタリアンパセリのみじん切り…小さじ1
【A】塩、胡椒…各適量

【作り方】
【1】じゃがいもは皮をむき一口大に切り、さっと洗い、そのまま耐熱容器に入れてラップをかける。600Wの電子レンジで3分加熱する。
【2】【A】を混ぜ、【1】に和える。
【3】粗熱が取れたら完成。夏は冷蔵庫で冷やす。

フライパンでも出来る!魚介のレモンフィデウア

最後は、見た目も豪華なパエリア! と思ってよく見たら、お米ではなくパスタですね!

「これは『フィデウア』というパスタを使ったパエリアです。今回は、パエリア鍋で作りましたが、フライパンで作れるんですよ! スペインではフィデウア用の短いパスタが売られていますが、残念ながら日本では通販でしか見かけません。でも、市販のスパゲッティーニ(太さ1.6mm程度)をパキパキと折って使えば大丈夫。具材を揃えるのが大変という方は、イカ、あさり、海老を冷凍のシーフードミックスなどで代用するのもいいでしょう。ただ、旨みを補うために市販の魚介スープ(フュメドポワソン)の顆粒を大さじ1ほど加えてくださいね。レモンは食べる直前にギュギュッと、です。スペインでは大きなパエリア鍋のふちに、写真のようにレモンを刺して、食卓に出すことも。魚介の味が染み込んだパスタがよく合います。皆さんも豪快にたっぷりとレモンをかけてくださいね!」

【材料】(2〜3人分、フライパンは26〜28cmを使用)
パスタ(スパゲッティーニ)…150g
レモン…1個
イカ…1杯
あさり…250g
海老(有頭)…3尾
赤パプリカ…1個
玉ねぎ…1/2個(100g)
にんにく…1片
トマトソース(市販)…大さじ2と1/2
白ワイン…大さじ3
オリーブオイル…大さじ1
熱湯…350ml
塩、胡椒…各適量
サフラン(好みで)…ひとつまみ

【作り方】
【1】あさりは砂抜きをしておき、パスタは3cmの長さに折る。

【2】イカは胴を輪切りに、足は2cm長さに切る。海老は背ワタを取り除く。赤パプリカは2cm角に切る。玉ねぎ、にんにくはみじん切りにする。
【3】フライパンにオリーブオイルを温め、海老の両面を焼く。頭を木べらなどでそっと押してミソを出す。
【4】同じフライパンで玉ねぎとにんにくを炒める。玉ねぎがしんなりとしたらトマトソースとイカを入れてさっと炒め、白ワインを入れ煮つめる。【1】を入れて3分中火で焦げないように混ぜながら炒める。
【5】熱湯350mlを入れ沸騰したら6〜7分中火で煮込む。途中、水分がなくなりそうならお湯を足す。
【6】あさりを加え、海老をのせる。あさりが開き、パスタに火が通ったら強火で水分がなくなるまで煮つめる。
【7】レモンを6等分してのせる。

【POINT】
サフランを使う場合はすりこぎなどを使い細かく砕き、熱湯に加える。

おわりに

スペイン料理といえど、簡単に作れて、食材はどれも身近で手に入るものばかり。今回ご紹介した料理の決め手は、レモンをたっぷりと使うこと! おいしいワインと、スペイン風レモンおつまみがあれば、もうここはバルです。スペインの風に思いを馳せて、陽気な気分でおいしく楽しい時間を過ごしてください♪

取材ご協力

スペイン料理研究家の丸山久美さん

料理教室「mi mesa」主宰。スペインのマドリードに14年間滞在し、現地の料理を学ぶ。帰国後は料理雑誌の編集者を経て、料理研究家として雑誌やテレビ等で活躍。著書に『修道院のお菓子』(扶桑社)や『本当に美味しいフライドポテトの教科書』(KADOKAWA)など多数。
http://k-maruyama.com/
Instagram:@kuu_maru

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withレモン編集部

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